「放電加工の穴あけの仕組みについて詳しく知りたい」
「放電加工機ごとの特徴について教えてほしい」
ここでは放電加工とは何か、放電加工の種類や特徴について紹介します。
放電加工機の導入をお考えの方はぜひ参考にしてくださいね。
□放電加工とは何か
ここでは放電加工がどういった加工なのかについて詳しく紹介します。
そもそも金属の加工にはさまざまな方法があります。
ボール盤や旋盤、フライス盤といった切削加工についてはよく知っているという方が多いでしょう。
これらは刃物を利用して金属を削る方法です。
上記に対して、放電加工というのは、電気エネルギーによって金属を掘り進める方法です。
電気が金属を掘り進めるというと疑問に感じる方もいらっしゃいますよね。
実際は、放電によって発生した熱を利用することで金属を溶かしながら、任意の形に加工をします。
加工ワークと工具(電極)の数ミクロンの隙間に放電し、6000度以上の熱と衝撃で金属を削ります。
1秒間に数万回のアーク放電を飛ばすことで、1ミクロンの精度で加工が可能です。
なお、放電加工は材料の硬さに関係なく高精度の加工ができるという点で金属加工の場面では重宝されています。
ただし電気を通す素材である必要がある点には気を付けてくださいね。
□放電加工の種類と特徴を紹介
ここまでは放電加工がどういった加工方法なのかについて紹介しました。
しかし、一言に放電加工と言っても3つの種類があることをご存知でしょうか。
ここからはその3種類の放電加工について詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1つ目は、型掘り放電加工です。
こちらは電極の形状を加工物に転写する加工方法です。
複雑な形の金型を作成する場合に使用される方法です。
原理としては、掘りたい形に加工された電極を工作物に近づけて放電させ、1秒間に1000~10万回火花を飛ばして工作物を少しずつ溶かし、希望の形に掘っていきます。
電極が工作物に触れることはなく、一連の作業は加工液の中で行われます。
メリットとしては、切削工具よりも繊細な加工が可能であることとワイヤ放電とは違い貫通させる必要がないことです。
反対にデメリットは、電気を通さない素材には加工ができないこと、加工に時間がかかることです。
2つ目は、ワイヤ放電加工です。
こちらはワイヤー線に電流を通しながら熱で金属を溶かす方法です。
ワイヤー線の厚さは0.2ミリメートルほどで、細くて柔らかい素材を使用します。
ワイヤーと聞くと、どうしても糸のこぎりで切断する加工をイメージする方が多くいらっしゃるかと思います。
しかし、ワイヤ放電加工は、ワイヤーと加工物が実際に増えることはありません。
非接触で加工できるということです。
非接触ということは、工作物への過度は負担を減らせますし、熱による変形のリスクも抑えられます。
メリットとしては、導電性のある物体であれば厚さや硬さに関係なく加工できることです。
直線的な加工だけでなく、円弧上の加工も可能であることです。
また、直線と円弧を組み合わせるという加工もできます。
さらに、バリが発生しないので取り除くための手間や専用の機械の準備が不要です。
デメリットとしては、底のある加工ができません。
また、加工速度は速い方ではありません。
さらにワイヤー線は垂直に張られるので、水平方向への加工ができない点もデメリットと言えるでしょう。
3つ目は、細穴放電加工です。
こちらは丸いパイプを電極として用い、放電の火花により金属を溶かして穴をあけます。
パイプ内に水を通し、放電により高温になった部分を冷却すると同時に溶けた金属片(スラッジ)を穴から外に排出しつつ掘り進めます。
非接触で加工ができるため切削では難しい曲面や深い穴の加工が可能です。
□放電加工機を導入する際の注意点とは
ここからは放電加工機を導入する際の注意点を紹介します。
主な注意点は2つあるので、それぞれについて詳しくみていきましょう。
1つ目は、最適な放電加工機を選ぶことです。
加工したい形状を考えながら機械を選ぶ必要があります。
例えば、底つきのものであれば型掘り放電加工機、貫通して加工するものであればワイヤ放電加工機といったように適切な機械を選択することが重要です。
また、大きさにも注意が必要です。
設備によっては対応可能な製品サイズが決められています。
そのため、加工物の大きさを把握した上で機械の選定を行いましょう。
2つ目は、安全対策を行うことです。
加工時には絶縁性の高い加工液を使用しますが、これは水や油を主成分としています。
特に注意が必要なのは、油を主成分とした加工液で、引火点が70度以上のものに関しては火災予防を徹底しましょう。
「放電加工機の火災予防に関する基準」を危険物保安技術協会が定めているので、ぜひ参考にしてください。
□まとめ
今回は、放電加工とは何か、放電加工の種類や特徴について紹介しました。
放電加工というのは、アーク放電を発生させて生じた熱を利用する加工方法です。
型掘り放電加工、ワイヤ放電加工、細穴放電加工の3種類についてご理解いただけたでしょうか。
放電加工ついてわからないことがあればお気軽にご相談ください。