「旋盤」というのは、丸いものの加工に適した機械です。
今回は旋盤加工の中でも穴あけ加工に焦点を当てて話を進めていきたいと思います。
一言に穴あけ加工と言っても、加工の種類や使用するドリルの種類はさまざまです。
穴あけ加工とドリルの種類、そして穴あけ加工をする際の手順について見ていきましょう。
□穴あけ加工とドリルの種類について紹介
ここでは、穴あけ加工の種類とドリルの種類について紹介していきます。
まずは穴あけ加工の種類について見ていきましょう。
穴あけ加工は、穴の精度やその穴を開ける目的によってさまざまな種類があります。
4つの穴あけ加工について紹介するので、それぞれの特徴について詳しく見ていきます。
・穴あけ加工
4種類の中でも最も基本的な穴あけ加工です。
複数のドリルを使い分けることでさまざまな穴を開けられます。
素材を貫通する穴を「通し穴」、貫通していない穴を「止まり穴」と言います。
・座ぐり加工
こちらはネジ穴に深さ1ミリメートルぐらいの段付き穴を追加工する方法です。
ネジをつけた際に表面が平らになるだけでなく、ネジの締め付けも良くなります。
鋳造や鍛造によって作られたネジ穴に使われることが多いです。
・リーマ加工
ドリルで開けた穴の内径を精度良く仕上げる加工です。
真円度や内径の寸法精度を高めることで、内面のドリル跡をなめらかにできます。
・タップ加工
こちらはドリルで開けた下穴に、雌ネジを作る加工です。
ねじ切りと呼ばれることもあります。
タップの回転と送りを完全に同期させることができれば、精度の高いねじ切りが可能になります。
次は、ドリルの種類について紹介します。
まずはドリルシャンクの種類についてです。
・テーパシャンク
こちらは刃部とシャンクの境目からシャンク後端にかけて細くなっていく形状のものです。
正式には「モールステーパシャンク」という名前です。
装着に独自の方法が必要ですが、ホールド性に優れています。
・ストレートシャンク
シャンクが一定の円筒形になっているものです。
刃部とシャンクが同じ径になっているのが特徴的です。
また、ドリルは構造によっても種類分けができます。
・ソリッドドリル
ボディとシャンクが一体となったドリルです。
「ムクドリル」と呼ばれることもあります。
1つの素材からできているのが特徴的です。
素材はハイスや超硬合金といった素材が使用されることが多いです。
・チップ交換式ドリル
ドリルの刃先を交換できるタイプです。
シャンクの先端に刃先を取り付けるタイプなので、刃先の切れが悪くなったらチップを交換するだけで何度でも繰り返し使用可能です。
刃先をグラインダーなどで再研磨する必要がないので、作業効率や利便性が高いです。
・ヘッド交換式ドリル
ドリルの先端を丸ごと交換できるのが特徴的です。
チップ交換式よりも加工時の精度が高いです。
最後に使用される頻度の高い、代表的なドリルについても紹介します。
・ツイストドリル
こちらは切削による穴加工のみを目的とし、ねじれがある刃の形状によって切れ味と切りくずの排出性を確保しています。
・油穴付きドリル
こちらはドリル内部に穴が通っており、ドリル先端より切削油を吐出することができるタイプのものです。
工作機械側の仕様である内部給油を使用して、油を確保します。
切りくずを強制的に排出したり、刃先を冷却したりできるという効果があります。
・センター穴ドリル
こちらは名前の通り、加工物のセンター穴を決めるために使われます。
センター穴の位置が加工の基準となるため、高精度の加工を行う際は非常に大切です。
・ガンドリル
先端からポンプで高圧の切削油を噴射し、回転を行うことで、加工時に出る切りくずを回転するシャンクの外側のV溝を通して外部に吹き飛ばします。
内径を傷つけずに加工できるという特徴があります。
・段付きドリル
径が異なる段が2つ以上付いているドリルのことを指します。
段の肩部分には刃が付いていて、段付きの穴加工や穴加工と同時に面取りなどの加工ができます。
複数の径の異なる段がある穴加工をする際は、基本的には複数の工程を通す必要があります。
しかし、段付きドリルを使用すれば1つの工程で加工が終えられます。
1本のドリルで加工をすることから精度の高い同軸度が得られます。
・バニシングドリル
ねじれのないストレートな形状が一般的です。
切削による穴加工を行いながら、金属の凹凸面を押しつぶして面をならす機能も持っています。
□穴あけ加工の手順を紹介
ここからは穴あけ加工の手順について紹介していきます。
1. ドリルを取り付ける
2. ドリルを素材の手前に移動
3. 素材を回転させる
4. ドリルを深さ方向に動かしながら削る
5. ドリルを素材から離す
本稿をご覧の皆さんは、工作機械の扱いには慣れている方が多いと思います。
そのため、加工手順についてはイメージできたかと思います。
怪我や事故には十分に注意した上で加工を行うようにしてくださいね。
□まとめ
今回は、穴あけ加工とドリルの種類、そして穴あけ加工をする際の手順について紹介しました。
穴あけ加工とドリルにはさまざまな種類があって非常に奥が深いですね。
本稿がこれから旋盤を取り扱うという方の参考になれば幸いです。
もし部品加工をお考えであれば、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。