「これから作業の中に樹脂の溶接をすることになった」
「樹脂の溶接についてもっと詳しくなりたい」
このようにお考えの方はいらっしゃいませんか。
そこで今回は、樹脂の溶接についての基礎知識を紹介します。
ろう接についても併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
□樹脂の溶接ポイントについて紹介
ここでは樹脂の溶接のポイントについて紹介します。
基礎的な部分を中心に紹介しますので、ご存じの方も一度確認して見てくださいね。
詳しくなりたいという方はしっかりと覚えおきましょう。
樹脂の溶接でこれだけは押さえておきたいポイントがあります。
1つ目は、樹脂は溶接可能であることです。
既に本稿をご覧の皆さんには当たり前かもしれませんが、知らない方もいらっしゃるかもしれませんので、念のため紹介しておきました。
もう1つは、材料を溶かせるので強度があることです。
これらの点についてより詳しく見ていきましょう。
樹脂は比較的成形しやすい素材です。
そもそも、樹脂とは石油を元にして使われている原油を、蒸留してできるナフサが主原料となっています。
そして、このナフサをさらに加工すると、ポリマーと呼ばれる化合物ができます。
これをおよそ3〜5ミリメートルの粒状にしたペレットをさらに加工することで、樹脂が得られます。
こうしてできた樹脂は2種類に分けられます。
・熱可塑性樹脂
そもそも可塑性とは何かについて説明します。
これは個体に力を加えて変形させたときに、元の形状に戻らない性質のことを指します。
個体が柔らかくなっているということですね
こちらの樹脂はガラス転移点、または融点まで加熱すると柔らかくなります。
そして、それを再び冷やすと固くなります。
成形時にも冷却すると個体になります。
つまり、こちらの樹脂は温度によって液状にも個体にも変化できるということです。
この性質があることで、材料をリサイクルできるのです。
反対にこの特徴があるため、耐熱温度は低くなってしまいます。
・熱硬化性樹脂
こちらは先ほど紹介した樹脂とは異なり、再び熱したとしても液状になることはありません。
ただし、こちらも熱を加えることで一旦液状にはなるのですが、そのまま加熱を続けると硬化します。
不思議な性質を持っていますよね。
これは分子が架橋結合を起こしているためです。
この結合おかげで機械的強度と熱耐性に優れているのです。
注意点としては、この結合が起きていたとしても、加熱の影響を受けないという性質ではないことです。
熱硬化性樹脂でも少し可塑性のあるものがあります。
また、硬化するという特性上、衝撃には弱くなります。
次は、樹脂の溶接方法について紹介します。
大きく分けると、溶接、圧延、ろう接の3つがあります。
溶接は、工作物の一部を溶かしてくっつける方法です。
圧延は、接合部分を熱して、圧力をかけてくっつける方法です。
ろう接に関しては、後ほど詳しく紹介します。
次は、溶接可能な樹脂を紹介します。
以下の通りです。
・塩化ビニル
・アクリル
・ポリエチレンテレフタラート
・ポリカーボネート
・ポリプロピレン
・ポリエチレン
先ほど3つの溶接方法を紹介しましたが、その中でもろう接が最も一般的でしょう。
次の部分では、先ほど説明しなかったろう接について見ていきたいと思います。
□ろう接のメリットとデメリットを紹介
先ほども3種類の溶接方法があることを紹介しました。
ここでは、その中のろう接について詳しく説明していきます。
まずは、ろう接とは何かから紹介します。
こちらは母材を溶かさずに、溶加材を接着剤のように接合面のすきまに行き渡らせてくっつける方法です。
ここからはメリットとデメリットを紹介します。
メリットは以下の通りです。
・寸法精度が高い
母体となる材料がほとんど溶けないので、高い精度を出せます。
・薄板や精密にくっつけられる
接合ひずみが少ないので、薄板への加工や精密な作業ができます。
・複雑な形でもくっつけられて、自動化や大量生産に適しているぬれによってろうが母材の隙間に入り込むので、くっつけた箇所が複数あっても簡単にくっつけられます。
・条件を適切に選択すれば、特殊な材料・異種材料間でもくっつけられる
ろう材と母材が溶け合う必要がないためです。
・ろう材と母材の融点が異なるため、再加熱によりくっつけた部分を離すことができる
デメリットは以下の通りです。
・くっつけた部分の強度が、他の溶接に比べるとやや弱いものが多い
・ろうと母材の組み合わせによっては著しい侵食が起こる
特に、ニッケル基合金をニッケルろうでろう付けする場合は侵食が起きやすいため注意が必要です。
・欠陥制御が難しい
くっつけた部分を直接確認できないためです。
□まとめ
今回は、樹脂の溶接についての基礎知識を紹介しました。
樹脂は溶接が可能で、強度もあることをお分かりいただけたでしょうか。
2種類の樹脂についても紹介しましたので、参考にしてもらえれば幸いです。
樹脂の溶接に関して相談したい方はお気軽に当社までご連絡ください。