金属やセラミックスなどの材料を仕上げるために用いられる研磨と研削。
この2つの用語はよく似ているため、混同してしまうことがあります。
しかし、それぞれに特徴的な加工方法があります。
そこで今回は、研磨と研削の違いについて紹介します。
それぞれの特徴についてまとめて紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。
□研磨と研削の違いとは
研磨と研削は、材料を磨き上げるための工程であり、それぞれの加工方法に特徴があります。
研磨は、粒子状の研削材を用いて、材料表面を滑らかに仕上げる加工方法です。
研削は、回転する砥石を用いて、材料表面を削り取る加工方法です。
研磨は、砥粒の大きさや形状、材質、研削材の種類などを変えることで、表面粗さや仕上がり面の形状を調整できます。
研削は、砥石の種類や回転速度、加工圧力などを調整することで、表面の平滑度や寸法精度を高められます。
また、研磨は、研削加工に比べて表面粗さを改善することができます。
しかし、加工時間がかかるため、生産性が低くなってしまう傾向があります。
一方、研削は、比較的短時間で精度の高い表面加工ができるため、大量生産に向いています。
□研磨加工の種類を紹介
研磨加工には、砥石研磨、研磨布紙加工、ラッピング研磨、ポリシング研磨、バレル研磨、電解研磨の6つの種類があります。
それぞれの特徴については以下でまとめます。
・砥石研磨
砥石研磨は、砥石と呼ばれる研磨剤を用いて、材料の表面を削り、平滑にする加工方法です。
主に金属やセラミックスの加工に使われます。
・研磨布紙加工
研磨布紙加工は、研磨剤を含んだ布紙を用いて材料の表面を磨き、平滑にする加工方法です。
砥石研磨よりも精度が高く、特に光沢を出せます。
主にプラスチックや金属の表面加工に使われます。
・ラッピング研磨
ラッピング研磨は、研磨剤を含ませた特殊な紙を用いて、円筒状の加工材料を磨き上げる方法です。
主に薄板や薄板バネの表面加工に使われます。
・ポリシング研磨
ポリシング研磨は、研磨剤を含んだポリッシング剤を用いて、高い精度で平滑化や光沢加工を行う方法です。
主に半導体や光学部品の表面加工に使われます。
・バレル研磨
バレル研磨は、バレルと呼ばれる容器内で研磨剤と加工材料を混ぜ合わせ、ローテーションさせながら研磨する方法です。
主に小型の金属部品やプラスチック部品の表面加工に使われます。
・電解研磨
電解研磨は、電気化学反応を利用して表面を加工する方法です。
材料を陽極として電解液に浸し、電流を流すことで表面を削ります。
主に金属加工に使われ、表面の粗さや平滑度を高い精度で制御することができます
以上のように、研磨加工には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
適切な研磨加工方法を選ぶことで、目的に合わせた加工ができます。
また、研磨加工は表面処理の重要な工程であり、製品の見た目や性能に大きな影響を与えるため、品質管理にも重要な役割を果たしています。
加工材料や目的に応じて適切な研磨加工方法を選択し、高品質な製品を作り上げることが求められます。
□研削加工の種類
研削加工とは、工作物の表面を高い精度で研磨する加工方法のことを指します。
研削加工は高い精度が求められる部品の加工や、表面の仕上げ加工などに広く用いられています。
研削加工には3種類の加工方法があるので、それぞれについて詳しくみていきましょう。
・円筒研削加工
円筒研削加工は、中心軸を中心に回転させた工作物に対して研削盤を垂直に移動させることで、表面を研磨する加工方法です。
主に、軸受けやシャフトなどの回転体部品の表面仕上げ加工に用いられます。
また、円筒研削盤は、工作物の外径の形状に合わせて研削盤を加工することで、様々な形状の工作物にも対応できます。
・内面研削加工
内面研削加工は、工作物の内面を研削する加工方法です。
工作物は回転しながら研削盤に対して垂直に移動させることで、内面を研磨します。
主に、シリンダーヘッドやベアリングハウジングなどの内部部品の表面仕上げ加工に用いられます。
内面研削盤は、工作物の内径の形状に合わせて研削盤を加工することで、様々な形状の工作物にも対応できます。
・センターレス研削加工
センターレス研削加工は、中心軸を持たない工作物に対して研削盤を垂直に移動させることで、表面を研磨する加工方法です。
主に、軸受けやピストンピンなどの回転体部品の表面仕上げ加工に用いられます。
中心軸を持たない工作物でも、ローラーやスラストベアリングによって安定した研削が可能です。
□まとめ
今回は、研磨と研削の違いについて紹介しました。
研磨と研削は、両方とも表面を磨くために用いられるが、その方法や目的に違いがあることをお分かりいただけたでしょうか。
研磨は表面を滑らかにするために用いられ、研削は表面に対して繊細な加工を行い、精度を上げるために用います。
工作機械の導入を検討中の方の参考になれば幸いです。