ステンレスやアルミニウム、鋼板といった薄い金属の板の加工でプレスブレーキの導入を検討している方はいらっしゃるでしょうか。
プレスブレーキをこれから使うという方には、金型の重要性について知っておいていただきたいです。
そこで今回は、プレスブレーキにおける金型の選定方法について紹介します。
□プレスブレーキの基本的な知識について紹介
ここではまずプレスブレーキの基本的な知識について紹介します。
これからプレスブレーキを導入する方はぜひ参考にしてくださいね。
実際金属の板を曲げる加工に使う機械には、ベンダーやベンディングマシン、ブレーキプレスのようにさまざまな名称があります。
一般的には、一定の角度に曲げ加工を行うものをブレーキ曲げ、素材を円形に曲げる加工をベンダー曲げと呼ぶことが多いでしょう。
そして、そのブレーキ曲げに使用する機械をプレスブレーキで、ベンダー曲げに使用する機械をベンディングマシンと言います。
次は、プレスブレーキの構造について見ていきたいと思います。
この機械は板金素材に圧力をかけて加工するという非常にシンプルな作りをしています。
主に2つの部分があります。
1つ目が上下に往復運動を行うプレス部分で、上型やパンチと呼ばれるものです。
2つ目が往復運動の受け皿となる部分で、下型やダイと呼ばれるものです。
上限運動によって圧力を加えていき、素材を目的の形状へと加工します。
素材の厚みや曲げたい角度に合わせて、金型を入れ替えて調整します。
この章の最後に、プレスブレーキの種類についても紹介しておきます。
・機械式プレスブレーキ
こちらは上下運動を行うプレス部分の動力構造がクランク形状になっているものです。
メカ式プレスブレーキと呼ばれることもあります。
後で紹介する油圧式と呼ばれる機械よりも、クランク部分が大きくなる傾向があります。
つまり、機械そのものが大型であるということです。
大型の機械というのは加工速度の調整が非常に難しいため、現在では使用率が低下しています。
・油圧式プレスブレーキ
こちらは上下運動を行うプレス部分の動力構造に油圧シリンダーを採用しています。
先ほど紹介した機械式よりもクランク部分の出っ張りがないので、とてもコンパクトです。
加工速度や負荷を自由に調節できるというのも大きなメリットです。
機械式よりも便利という点で採用率は高いです。
□金型の選定方法を紹介
ここからは先ほど紹介した上型、下型、パンチ、ダイなどの金型の選定方法について紹介していきたいと思います。
まずは金型を選定する際の手順を見ていきましょう。
金型を選定する際には、完成図面や展開図面を確認した上で、総合的に判断していく能力が求められます。
これらを達成するためには、必要条件を全て満たせているかを確認する必要があります。
条件を満たせていないと、適切な金型を選ぶことはできません。
また、曲がりが甘かったり、精度が悪かったりという現象が発生することも考えられるでしょう。
確認すべきポイントは、以下の5つです。
1. 機械スペックの確認
2. V幅の決定
3. 金型の組み合わせ
4. 曲げ順
5. 所要圧力
金型の選定をする際には、上記5つのポイントを確実に押さえておきましょう。
図面から読み取れる内容についても紹介しておきます。
・材質(SPCC、SUS、AL)
耐圧トン数や金型先端角度を確認してください。
・板厚
V字幅の決定や必要となる曲げトン数に対して、金型の耐圧トン数を確認します。
・曲げ長さ
耐圧トン数から機械テーブルの長さや側板との距離、深さを確認します。
・内R
コイニング、エアーベンディング、R曲げについて確認してください。
ここまでの内容で基本的な金型の選定は可能です。
しかし、複雑な曲げ加工をしたり、複数の箇所に曲げ加工をしたりすることもありますよね。
こうした場合には、シミュレーションが必要となる金型を選定することになるでしょう。
1. 使用する機械の決定
2. 金型仕様
3. 作業条件の決定
・曲げ長さ、高さ
最少長さはV幅×0.7で求められます。
テーブルの長さ、フランジの長さ、側板の距離も確認するようにしましょう。
・Z曲げ寸法
V溝の深さ、1工程目、曲げ高さ(板厚段差)、段差曲げ仕様金型を確認します。
・垂れ下がり寸法、筐体曲げ
それぞれダイ全長とパンチ全長を確認します。
・バーリング等の成形箇所
金型の干渉がないかを確認してください。
・圧力曲げ
金型の仕様を確認します。
・筐体曲げ、幅寸法
分割金型の長さを確認します。
・曲げ部付近の穴位置
変形する可能性がないか要注意です。
・横幅寸法、重量
曲げ加工を行う人数、製品の置場を確認します。
・精度
曲げ順序の確認をしましょう。
・表面の状態(キズ無しの表面)
擦りキズ防止対策を行います。
□まとめ
今回は、プレスブレーキにおける金型の選定方法について紹介しました。
プレスブレーキの特徴についてご理解いただけたでしょうか。
これからプレスブレーキを導入しようとお考えの方はぜひ本稿を参考にしてくださいね。
そのほか工作機械について質問や相談がある方は、お気軽にご連絡ください。